遠距離介護を無理なく行う方法。親が元気なうちに備えておこう

親が1人暮らしになったら、子供としては心配です。
遠くに住んでいるとなおさらですね。

親と同居するという選択肢もありますが、それが必ずしも良い結果になるとは限りません。
特に、息子・娘のところに移り住む形の同居は、親にとって大きなストレスです。
環境の変化により
・元気だった親が認知症を発症した
・親の認知症が悪化した
という事例もあります。

そこで、今回は遠距離介護について解説します。
急に親の介護が必要になった場合でも、あわてずに済む方法を知っておきましょう。

親が元気なうちに準備をしておくこと

親とのコミュニケーションを密にしておく

実家に帰省して親と会うのは、お盆とお正月の年に2回程度という方が多いはずです。
通常ならこのくらいの頻度でも問題はありません。

ただ、介護が始まると、年2回程度では少ないと言わざるを得ません。
できれば3ヶ月に1回程度は帰省したいところです。
どうしても難しい場合、週3回は電話で連絡を取りましょう。

介護の方針を考える上では、親の心配事や不安を把握しておく必要があります。
そのためには、普段から話をよく聞くなど、サポート体制を整えていくことが大切です。

もし直接聞きにくいようであれば、「親が自分でできていることをねぎらい、謙遜を引き出す。その上で何か困ってないかを聞く」という方法もあります。

親の生活パターンを把握しておく

今は親が元気だから、生活パターンまで把握する必要はないと思っている方も多いでしょう。
しかし、いつ介護が必要な状態になるかは誰にも分かりません。
元気なうちに普段の生活パターンを把握しておくと、親に異変があったときにいち早く気付けます。

まずは起床、就寝、食事、入浴などの時間などの生活リズムを把握しておきましょう。

また、親がよく出かける場所や外出頻度も把握しておいてください。
外出頻度が減ったら理由を聞いておきましょう。
急に外出頻度が減った場合には、うつ状態や閉じこもりが心配されます。

親の健康状態を把握しておく

親が病気や認知症になったとき、誰も親本人の健康状態を把握していないと対応が遅れてしまいます。
まずは、病気やけがで病院を受診しているかを教えてもらいましょう。
できれば病院名と主治医の名前も聞いておいてください。

親の経済状態を把握しておく

今は元気でも、いつ介護を必要とする状態になるかは誰にも分かりません。
介護が必要になったら、介護保険サービスを利用する可能性が高いです。

介護保険サービスを利用するとき、多くの親は自分一人で利用料を払おうとします。
しかし、サービス利用が増えたら、親が出せる範囲を超える可能性もあります。

親の経済状況を把握しておくと、親にどれくらいの援助を求められるかが分かります。
年金や預貯金の額、保険の加入状況などを事前に把握しておきましょう。

親の交流関係を把握する

急に親が体調を崩したときなど、自分がすぐ対応できない場合もあります。
そんなときには、誰か他の人に手助けをお願いしなくてはなりません。
非常時に備えて、親戚や友人、知人に会ってあいさつしておきましょう。
できれば連絡先も聞いておいてください。

ただし、自己判断で勝手に聞くと親とトラブルになる恐れがあります。
そのため、できるだけ事前に親の許可をとっておきましょう。

親が住む自治体の介護保険サービスやその他福祉サービスを把握しておく

介護サービスを調べる方法は主に以下の3つです。
・インターネットで親の住む自治体のホームページを検索する
・電話で問い合わせて、もしパンフレットがあるなら取り寄せる
・帰省時に地域包括支援センターを訪問し、情報収集する

介護について親と話し合う

いざ介護が必要になってから親の考えを聞こうにも、認知症を患うなど、話せない状態になってからでは手遅れです。
いざというときに備え、できるだけ早めに話し合うことをおすすめします。

「お父さん(お母さん)は、これからどうやって暮らしていきたい?」といったように、本人の考えを直接聞いてみましょう。

まず聞いておいてほしいのは以下の2点です。
・今後も自宅で暮らしたいのか?
・施設に入りたいのか?
親の考えを聞いたら、それを実現できるような介護サービスを探し、提案してあげてください。

介護に関する考えは、親が不安なことを話してくれたタイミングで聞くのがコツです。
こちらの考えだけですすめると、のちのちトラブルにつながる恐れがあります。

自分の家族(配偶者)やきょうだいと情報共有する

情報共有ができていれば、話し合いや介護がスムーズに進みます。
逆に情報共有ができていないと、いざ介護が始まったときにトラブルの原因になります。

考えられるトラブルとしては以下のようなものが挙げられます。
・主介護者への負担が大きくなりすぎる
・介護をしない家族が色々口出しをして、主介護者のストレスが増える
・家族関係の崩壊につながる

介護が必要になったら最初にするべきこと

親が入院している場合

親が入院している場合は、医療相談員に相談しましょう。
医療相談員は、病院にいる福祉や介護に関する相談職です。

最初に話すのは、親と介護者(自分たち)の現状です。
その上で、退院後の不安な点を伝えます。
今後自分たちがどこまで支援できるか、経済面を含めて話しましょう。

退院後在宅に戻れそうなら、介護保険サービスについて相談します。
退院後在宅生活が難しそうな場合は、施設入所を考えていると伝えましょう。
その上で、施設の種類や申し込み方法を教えてもらいます。

親が入院していない場合

親が入院していない場合は、地域包括支援センターに相談しましょう。
地域包括支援センターは、介護・医療・福祉に関する相談を受けてくれる機関です。

まずは親の病状や介護を担当する家族の状況など、自分たちの現状を伝えましょう。

担当者から介護保険サービスについての説明があるはずですので、この段階で介護の全体像を把握しておきましょう。

要介護認定の申請を行う

要介護認定とは、どのくらい介護が必要か(要介護度)を決めるものです。
介護保険サービスを利用するためには、必ず要介護認定を受けなくてはなりません。

要介護認定は役場の介護保険窓口で申請します。
事前に、申請書と介護保険被保険者証を用意しておいてください。

申請後、要介護認定調査が行われます。
この調査では、認定調査員が親の自宅や入院先に出向き、心身の状態・認知症症状の有無などを聞き取ります。

このとき、できれば家族も調査に同席してください。
親は、他の人の目があると普段できないこともできると言ってしまいがちです。
そうなると要介護度が正しく算出されません。

家族がその場にいることで、普段の親の様子を正確に伝えられます。
「親の前で直接口を出すのは難しい」という場合は、調査後にこっそりメモを渡しましょう。

また、調査と並行して主治医に意見書を書いてもらいます。
認定調査と意見書の結果により、要介護度が決まります。

遠距離介護を無理なく行う方法

介護の悩みを相談できる場を作る

親の介護が始まると、介護する方にもさまざまな悩みが出てきます。
遠距離介護の場合、移動が大変などの悩みも出てくるでしょう。
悩みを打ち明けるだけでも、心が軽くなることもあります。

相談相手として考えられるのは、親を担当するケアマネージャー、サービス事業所スタッフ、自分の配偶者やきょうだいなどですが、とにかく親身になって話を聞いてくれる人に相談することが大切です。

仕事と介護を両立させるための方法を知っておく

介護のために仕事を辞めると、経済的にも精神的にも余裕がなくなります。
なかなか大変ではありますが、それでも仕事はそのまま続けることをおすすめします。

まずは職場の上司や同僚に、介護の状況をありのまま話しましょう。
ある程度の理解を得られた時点で、介護休業制度などの利用について相談してください。

介護休業制度:要介護の家族1人につき、通算93日までの休暇を取れる制度
介護休暇制度:要介護の家族1人につき、年間5日の休暇を取れる制度
2人以上の場合は年間10日

これ以外にも職場独自の制度があれば利用を検討しましょう。

交通費補助制度を使う

遠距離介護においては、交通費の負担も軽視できません。
各交通機関が用意している補助制度を積極的に活用しましょう。

飛行機の場合は、航空会社の介護帰省割引があります。
(日本航空では介護帰省割引、全日空では介護割引)
スカイマークやピーチなどの格安航空会社を使うのも一つの手です。

JRの場合は、ジパング俱楽部というサービスがあります。
男性満65歳以上、女性満60歳以上が対象で、運賃が最大で3割引になります。

各種見守りサービスを使う

遠距離介護では、なかなか親の状況がつかめません。
離れた家族を見守るサービスもいろいろありますので、あなたの状況にあったものを探してみてください。

自治体や民間企業が行っている配食サービス

配食サービスは基本的に手渡しなので、安否確認にもなります。
料金は自治体や企業によって差がありますが、平均すると一食当たり400円から600円程度です。

人感センサー、スマートフォンのアプリを使った見守りサービス

人感センサーを使ったサービスでは、トイレなど親が必ず行く場所にセンサーを設置します。

主なサービスとしてあげられるのは、株式会社スリーS「みまもりサービス」です。
専用端末に内蔵されたセンサーが一定時間人の動きを検知しない場合、家族あてに安否確認メールを配信します。

専用端末のレンタル費を含めた月額利用料金は、2,750円(税込)です。
また、別途初回事務手数料が11,000円(税込)かかります。

スマートフォンのアプリによる見守りには、親のスマートフォンが必要です。

主なサービスとしては、NPO法人エンリッチのLINE見守りサービス(無料)があります。

安否確認の流れは以下の通りです。
・事前に設定した間隔(毎日や2日に1回)で親のスマートフォンにメッセージが送られる
・返答がなければ、24時間後にメッセージが再送信される
・再送信後、3時間以上返答がなければ事業所が直接電話をかける
・それでも安否確認できない場合は、家族にメールか電話で連絡する

電気ポットなど家電製品を使った見守りサービス

代表的な商品・サービスは、象印マホービンの「iポット みまもりホットライン」です。こちらは月3,300円(税込)でレンタルできます。

電気ポットを使用するとセンサーが反応し、使用状況を家族にメールでお知らせします。

自治体による見守りサービス

地域包括支援センター職員や民生委員の訪問・電話による安否確認です。
基本的にサービス料金はかかりません。

電話や訪問の頻度は週1回から週6回までと自治体によって異なります。
詳しくは、見守りサービスを実施している機関にご相談ください。
主な実施機関は以下の3つです。
・市区町村の高齢者福祉窓口
・地域包括支援センター
・社会福祉協議会

緊急通報システムを使う

自治体による緊急通報システム

緊急通報ボタンを押すことで消防署につながります。
料金は基本的に無料です。
自治体の高齢者福祉窓口で相談を受け付けています。

警備会社など民間による緊急通報システム

緊急ボタンを押すことで、警備員がかけつけて対応してくれるシステムです。
民間のサービスには電話による健康相談(24時間対応)を受けられるものもあります。

料金は警備会社によって異なりますので、詳しくは運営先の会社にご相談ください。
現在緊急通報システムを全国展開している主な警備会社は以下の2つです。
・セコム
・アルソック

施設入所も視野に入れる

時が経つうちに親の一人暮らしが難しくなることも考えられます。
将来に備え、施設入所も検討しておきましょう。

主な選択肢として挙げられるのは以下の5つです。
・特別養護老人ホーム
・介護老人保健施設
・介護医療院
・認知症グループホーム
・サービス付き高齢者住宅

どんな施設がよいか分からない時は、ケアマネージャーや地域包括支援センターに相談しましょう。
要介護度や認知症の有無などをもとにアドバイスしてくれます。

さいごに

親の介護であわてないためには、親が元気なうちの備えが大切です。
親とコミュニケーションを密にして、親の現状や思いを把握しておきましょう。
介護が必要な状態になったら、まずは地域包括支援センター、もしくは病院の医療相談室に相談してください。

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