冬の入浴に潜む危険とその注意点【ヒートショックと浴室内熱中症】

冬は、高齢者が入浴中に亡くなる事故が多い季節といわれます。

原因の多くは「ヒートショック」と「浴室内熱中症」です。

高齢の親と一緒に住んでいる家族は心配でしょうが、なにも防ぎようがないことではありません。

そこで今回は

● なぜ冬の入浴ではヒートショック、浴室内熱中症を発症しやすいのか?
● どうすれば安心して入浴できるのか?

この2点について詳しく解説します。

冬の入浴に潜むリスク

ヒートショック

ヒートショックとは、急激な温度変化によって血管が収縮、もしくは拡張し、これによって身体がダメージを受けることです。
ヒートショックは、入浴中に亡くなる事故の原因で最も多いとされています。

血管が急に収縮することで起きる症状

血管が急に収縮すると、これに連動して血圧が上がります。

例えば、水が流れているホースを潰すと水圧は強くなりますよね。
これと同じことが私たちの血管でも起きるとイメージしてください。
血圧が上がることで、脳の中にある細い動脈が破れやすくなってしまいます。

その結果引き起こされるのが、脳内出血です。

また、収縮して狭くなった血管に血のかたまりなどが詰まることもあります。

これが心臓の近くにある大きな血管で起きると心筋梗塞、脳血管で起きると脳梗塞を引き起こします。

血管が急に拡張することで起きる症状

血管の急な拡張は、血圧の急低下につながります。

勢いの弱い(水圧が低い)シャワーでは高いところに水をかけられないように、血圧が低下すると脳にまで血液を回せなくなります。
血液の供給が少なくなった脳では意識を保っていられません。

お風呂場で意識を失うと溺れることもあり、死に至る恐れもあります。

浴室内熱中症

熱中症とは、体温の上昇や水分の減少などにより、頭痛やめまい、けいれんを引き起こす病気です。

熱中症というと夏に発症するイメージがあるかもしれませんが、実は冬の入浴中にも油断できない事情があります。

以下にその理由をまとめました。

  • お風呂場は熱中症が起こりやすい高温多湿な環境だから
  • 冬はかくれ脱水が起きやすいから

高温多湿になるお風呂場では、体内で水分と塩分のバランスが崩れ、体の熱を逃しにくくなります。

また、冬は夏に比べて空気が乾燥しやすく、呼気や皮膚から多くの水分が放出されています。そのため冬は自覚症状のない脱水状態(かくれ脱水)に陥っている人が多く、浴室内熱中症も発症しやすいといえるのです。

入浴中にまぶたが重くなってきたら、危険なサインです。

意識を失ってしまう前に、一刻も早く湯船から出ましょう。

冬の入浴が高齢者にとって危険な理由

高齢者は体温の変化に気づきにくい

年齢を重ねるごとに、体内にある汗腺の機能が低下します。

そのため高齢者は汗をかきにくく、体温も下がりにくいのです。

身体機能の低下はとてもゆっくり進行するため、本人すら気づかないところで温度変化による体調変化が起きている恐れがあります。

高齢者は血圧が変化しやすい

人間には、もともと体の正常な状態を保とうという働きがあり、これをホメオスタシス(恒常性)といいます。

血圧もホメオスタシスのおかげで一定の値に保たれているのですが、年をとるとこの働きが低下し、ちょっとしたことで血圧が変化しやすくなります。

高齢者は血管に負荷がかかりやすい

年を取れば、個人差はあるものの、誰でも血管が硬くてもろい状態になります。

これがいわゆる動脈硬化です。

血管には本来柔軟性があります。

そのため、心臓が強い力で血液を押し出しても、血管はその衝撃を吸収できます。

しかし血管が硬くなると柔軟性が失われ、心臓からの衝撃を吸収できなくなります。

冬の入浴で注意しておきたいこと

食後1時間以上経ってから入る

食後は消化のため血液が胃や腸に集まり、心臓に戻る血液の量が減るため血圧が下がります。

この状態でお風呂に入ると、通常よりさらに血圧が下がってしまうため非常に危険です。

特に高齢の方は自律神経の働きも低下していることもあり、血圧を正常に維持することが難しくなっています。

最低でも食後1時間以内の入浴は避けてください。

入浴前後に水分を補給する

入浴すると汗をかき、体内の水分が失われます。

水分量が減ると

  • 浴室内熱中症のリスクが高まる
  • 血液がドロドロになり、血管がつまりやすくなる(脳梗塞や心筋梗塞のリスク)

といった問題がありますので、入浴前後にはコップ1杯の水を飲んでおきましょう。

浴室と脱衣室を温めておく

浴室と脱衣室が寒いと、入浴による温度変化で血圧が乱高下します

湯船のふたを開ける、浴室をシャワーで温めるといった工夫をしましょう。

お風呂の温度は 38℃から40℃に設定する

42℃以上の熱いお湯は、心臓に負担をかけてしまいます。

浴室内での事故を防止するためにも、ぬるめのお湯に入りましょう。

浴槽に入る前にかけ湯をする

かけ湯をすることで、いきなり浴槽に入るより血圧の変動をゆるやかにできます。

かけ湯の際は、心臓から遠い手や足からお湯をかけましょう

長湯をしない

入浴すると血管が拡張し血圧が下がります。

長湯をすると血圧が下がりすぎるうえ、心臓にも負担がかかります。

浴槽に入るのは10分程度が望ましいです。

お風呂から出るときはゆっくり

急に湯船から立ち上がると血圧が低下し、立ちくらみや転倒の危険性があるので注意してください。

まとめ

冬の入浴での注意点は以下のとおりです。

  • 食後1時間以上経ってから入る
  • 入浴前後に水分補給
  • 浴室と脱衣室を温める
  • お湯の温度は38℃から40℃
  • 浴槽に入る前にかけ湯をする
  • 長湯をしない
  • お風呂から出るときはゆっくり

以上の注意点を守って、冬も安心安全にお風呂に入りましょう。

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